こんにちは。ORIGAMI JOURNAL 編集部です。
今回のゲストはなんと! 世界バリスタチャンピオンシップの初代優勝者であるロバート・トーレセン氏が運営するノルウェーの「JAVA(ヤヴァ)」でゼネラルマネジャー/バリスタを務めるKaveh Ataei(カヴァ・アタエイ 以下アエタイ氏)さんです。
場所は愛知県のJR名古屋タカシマヤ。2017年冬に開催された北欧展の企画で実現した、JAVAのコーヒーが飲めるポップアップショップでお話をお聞きしました。
ちなみにJAVAがノルウェー以外で、企画展と言えどお店を出してコーヒーを提供するのは初めてのこと。この大変貴重なタイミングに、ORIGAMI カップを提供しているご縁でお話を聞くことができました。
世界的なコーヒー好きで知られるノルウェーで、愛され続けるお店はどのような考えで運営されているのか。コーヒーを淹れるときに大切にしていることは何なのか。インタビューは、お互いが母国語ではない英語で、確かめ合うように行われました。それではお楽しみください。
JAVA(ノルウェー)
ゼネラルマネジャー/バリスタ Kaveh Ataei
2007年にJAVAに入社。焙煎チームとして、豆の焙煎に携わったのちゼネラルマネジャーとしてJAVAの運営に広く関わる。特に好きなコーヒー豆の原産国はケニア。
JAVA ウェブサイト(ノルウェー語です)
http://www.javaoslo.no/

世界で二番目にコーヒーを飲む国から。


加藤
今回はアエタイさんに、世界的なコーヒー好きと知られるノルウェーのカフェ文化など、いろいろとお聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
アエタイ氏
よろしくお願いします。
ちなみに、コーヒー好き世界一の国はフィンランドです。ノルウェーは2番ですね。どちらも外にコーヒーを持ち歩いて飲む人が多いです。
加藤
そうなのですか。日本ではコーヒーを持ち歩くというよりは、座って飲む人が多いですね。他にも、日本に来て、ヨーロッパとのコーヒー文化の違いに気づくことはありますか?
アエタイ氏
一番違うのは、おそらく焙煎でしょう。ノルウェーなどの北欧諸国は焙煎が浅く、伝統的にアメリカや日本は焙煎が深い。それは文化や歴史的な背景に寄るところが大きいと思います。
ただ、最近は北欧諸国の焙煎が少し深くなってきていて、アメリカ、日本の焙煎が浅くなる傾向があります。世界的には中間ぐらいの焙煎度合いに近づいているのではないでしょうか。
僕はロースティング(焙煎)のテクニックで、豆が持つ可能性、輝きを引き出せると考えています。ローストが世界的に標準化されてきている中で、もっと技術が磨かれ、世界中の人においしいブラックコーヒーを楽しんで欲しいですね。
加藤
焙煎の傾向にそのような潮流があるのですね。JAVAは焙煎にも力を入れていると聞きましたが。
アエタイ氏
JAVAは今年で20周年になりますが、コーヒースタンドの他に、15年程前から生豆を買って自社でローストをする焙煎事業も始めています。今では北欧はもちろん、アメリカ、中国、日本などの世界中の国に焙煎した豆を供給していますよ。おかげさまで、焙煎事業は順調に伸びています。
どのような環境でも、最高の一杯を提供する。

加藤
ところで、どうしてアエタイさんはJAVAで働くようになったのですか?
アエタイ氏
実は、僕は以前に小さなコーヒーショップを経営していました。とってもとっても小さなコーヒースタンド。フードは軽食を少し出す程度で、あくまでコーヒーをメインにしたお店でした。
でも、最初の頃はコーヒーについてほとんど知識がありません。そんな時にロバート(JAVA 創業者。初代バリスタワールドチャンピオン)と出会ったんです。
それから僕らの友人関係が始まって、彼が始めたJAVAの焙煎チームから商品を買うようになり、いつしか一緒に働くようになりました。JAVAに入ったのは確か2007年のことです。
加藤
ずっとコーヒーに関わってこられたんですね。
アエタイ氏
カフェで働くのが大好きなんです。カウンター越しに、その人にとってなにか特別で、いつもと違った体験を与えるようなサービスをしようとトライする。そんな仕事が好きでJAVAで働いています。
JAVAは毎日200人近くの人に会えて、素敵な音楽を聞きながら、すばらしいコーヒーを淹れられる、最高の環境ですよ。来てくれた人の一日が、少しでも良いものになればと思いながら働いています。
加藤
素敵な場所で働かれているんですね。そんなJAVAでコーヒーを淹れる際には、どのような点にこだわっているのでしょうか? 知りたいです。
アエタイ氏
大切なのは、バランスです。味に関しては、苦過ぎず、甘過ぎず、フルーティー過ぎないパーフェクトな味のバランスがあると思っています。さらに完璧なコーヒー豆のグラインド、コーヒーと水のバランスも重要です。それらすべて達成するためには、抽出も含め首尾一貫したプロセスが求められます。
もし水やグラインダーの状況が違えば、バリスタはそれをうまく調整しないといけません。JAVAのあるオスロと名古屋の水は違うし、お店とこの場所のグラインダーも異なります。でも、コーヒー豆の原産地のクオリティを引き出し、どちらも同じ一杯をお客さまに提供しなければいけない。そこはこだわり続けていることです。
新しいコーヒー体験をお届けしたい。

加藤
また個人的な質問になってしまうのですが、アエタイさんのバリスタとして大切にしていることをお伺いできますか。
アエタイ氏
……大きな質問ですね。1時間くらい時間をもらってもいい?(笑)
一番大切にしている事、メインゴールは、すべての人にできる限りベストなコーヒーを届けることです。
2日前の話しなんですが、ここに年配の男性のお客さんが来てくれました。彼はいつもコーヒーを飲む時、水と交互に飲んでいるらしいのですが、僕が淹れたコーヒーは、一度も水を飲む事なくすべて飲んでくれました。それだけ彼にとって飲みやすく、新しいコーヒー体験だったようです。そして、昨日もまた同じお客さんが来てくれました。それを見て、僕はバリスタとして大変嬉しく、そのお客さまに感謝を感じました。
加藤
その方にとっても素晴らしい体験だったんですね。
アエタイ氏
ベストなコーヒーを通じて、新しいコーヒーの体験をお客さまに提供する事はとても大切だと思います。
今回僕たちがコラボレーションしたトランクコーヒーの鈴木さんも、世界中からコーヒーに関する情報を集め、名古屋で彼らを信頼しているお客さまに発信し続けています。ここから新しいコーヒー体験がきっと生まれるはずで、これはすばらしい事だと思います。
TRUNK COFFEE オーナー/バリスタ 鈴木康夫
常識にとらわれない発想と活動が、様々なメディアで注目されている名古屋のバリスタ。JAVAでの修行経験もあり、その縁で今回の企画展でのコラボレーションが実現した。鈴木さんの記事はこちら


加藤
先ほど厨房を覗かせてもらった際、HARIOのドリップポットなど日本製のプロダクトを使われていることに気づきました。アエタイさんは日本製の商品にどのようなイメージを持たれていますか。
アエタイ氏
私達は、主にCHEMEXやHARIOなどの海外のコーヒー器具をノルウェーに輸入していますが、特に日本製の商品の品質はすばらしい。壊れづらく、長く使用できます。家でコーヒーを淹れる方にもとても評判が良いんですよ。
加藤
私達のORIGAMIも、同じ日本製として品質には自信があります。
アエタイ氏
今回初めて使わせてもらいましたが、形状、厚み共にとても使いやすいですね。特に厚みの部分は口あたりも良く気に入っています。あとJAVAのお店のロゴのプリントもね(笑)。
加藤
嬉しいです。帰国後もぜひお使いください。
アエタイ氏
今回のJAVA、トランクコーヒー、ORIGAMIのようなコラボレーションは、世界のコーヒーマーケットをより良くしていくうえでとても意味があると思います。
ORIGAMIは最適なコーヒーカップをどのように製造するかをよく知っていますよね。トランクコーヒーさんはベストなコーヒーを知っている。そういった人たちが、今後もコラボレーションする取り組みをしていきたいですね。
加藤
ぜひご一緒させてください。ありがとうございました。
アエタイ氏
こちらこそありがとう。


いかがだったでしょうか。
世界でもとりわけコーヒーが好きな国から来たバリスタは、やはりコーヒーが、カフェが大好きな人でした。そういう方にORIGAMIが褒められるのはやはり嬉しいものです。
いつかORIGAMIも世界進出を……。
それでは次回もお楽しみに!

今回取材させていただいたJAVAさんはノルウェーのオスロ市内にあります。旅行で行かれる際にはぜひお立ち寄りください。(写真はポップアップショップに飾られた外観写真です)
JAVA ウェブサイト(ノルウェー語です)
http://www.javaoslo.no/

加藤信吾
Kato Shingo
ORIGAMIのブランド設計に外部パートナーとして携わるなかで、様々なバリスタと出会い、各地のスペシャルティコーヒーに感動し、気がつけば一日2杯のコーヒーが欠かせない日々を送る。
twitter:@katoshingo_
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