こんにちは。ORIGAMI JOURNAL 編集部です。
今回のゲストは、多くのバリスタに「ゴールドフィルター」で知られるコーヒー器具ブランド Cores を運営する大石アンドアソシエイツの広報チーフ 加藤薫さんです。
Coresは、スペシャルティコーヒーの先駆けとも言われる軽井沢の「丸山珈琲」さんの開発協力のもと、美味しいコーヒーをサポートする様々な器具を販売するブランド。私たちと同じく、コーヒー業界を道具から盛り上げていく会社のひとつです。
今回の取材は、ORIGAMIとの初めてのコラボで生まれたCoresの新商品「キキマグ」の発売を記念して行われました。場所は大石アンドアソシエイツさんのオフィスの一角です。
バリスタを道具から支えるメーカーの二人が、今回の商品のこと、コーヒーに対する思いを語ります。どうぞお楽しみください。
株式会社大石アンドアソシエイツ
人の暮らしが「今よりちょっとハッピーに、今よりちょっと快適になる」お手伝いをする台所家電・生活雑貨の専門商社。2013年より丸山珈琲の開発協力を受け、コーヒー器具を扱うブランド「Cores」がスタート。現在はゴールドフィルターを中心に様々な商品を取り扱っている。
Cores
Webサイト
http://cores.coffee/

Cores × ORIGAMI のコラボが生まれたきっかけ。


加藤
今回はよろしくお願いします。
加藤薫
こちらこそお願いします。それと、キキマグの開発では色々と対応いただきありがとうございました。おかげさまで良いものが出来ました。
加藤
いえいえ、私たちとしてもお手伝いをさせていただく中で発見が多い仕事になりました。国内のメーカーと組むのは初めてだったと聞きましたが、お声がけいただいたのはどういう経緯だったのでしょうか?
加藤薫
私どもが扱う商品は、台所家電・生活雑貨と幅広いものですが、その大部分は中国製です。ただ、ずっと日本製を扱いたいという思いもありました。そんな折、昨年(2017年)の東京コーヒーフェスティバルでケーアイさんの展示を見て、色とりどりのカップに惹かれたことが始まりです。
そしてさらに会社のお話しなどをお聞きして、陶磁器の製造に関する知識や経験が豊富なメーカー(光洋陶器)との連携が強く、コーヒーへの理解も深かったので安心してお声がけさせていただいた次第です。
加藤
ありがとうございます。私どもは御社の商品を存じ上げておりまして、あのゴールドフィルターのCoresさんから声がかかったことに社内が湧きました(笑)。
そういえば、先ほど御社の事業は台所家電・生活雑貨という話がありましたが、コーヒーの分野にはもともと知見があったのでしょうか?
加藤薫
Cores は、2013年から大石アンドアソシエイツの自社ブランドとして立ち上がったコーヒー器具を扱うブランドですが、実のところ、当時はコーヒーの抽出器具について知識も経験もほとんどない状態でした。
美味しいコーヒーをお届けしたい。けれど、私たちには正しい抽出方法すら手探りの状態。そんなときに、以前からお取り引きをさせていただいていた丸山珈琲さんに「金属フィルターがいい、海外でもメタルフィルターが注目されているよと」とアドバイスいただいたのです。
加藤
丸山珈琲さん、今やスペシャルティコーヒーの先駆けとも言われるお店ですよね。
加藤薫
はい。お取引が始まった当時はまだ軽井沢本店のみで、多店舗展開される前の頃でした。
実は丸山さんには、約10年前、弊社が創業以来扱っているRussell Hobbs(ラッセルホブス)というイギリスの調理家電ブランドでの、コーヒーメーカーの商品開発の際にも「フィルターが重要だよ」とアドバイスいただことがあります。
そういった経緯もあって丸山さんに開発協力を依頼し、試行錯誤の末に生まれたのがゴールドフィルターであり、Coresブランドなのです。
加藤
そうだったんですか。先ほどいただいたコーヒーも大変美味しかったですし、初めからコーヒーが好きな文化(の会社)なのかと思っておりました。
加藤薫
社内で淹れるコーヒーは、ほとんどすべてスペシャルティコーヒーの豆を使っているんですよ。でも、こういった良品質なコーヒーを嗜むようになったのは、ここ数年の話ですね。会社の商品としてコーヒー関連器具を扱い出してからですが、スペシャルティコーヒーが徐々に社会に浸透してきたことも大きいと思います。
私自身も、以前はコーヒーの苦味が得意ではなかったのですが、ちゃんとドリップされたコーヒーの美味しさを知ってからはカフェで注文するようになりました。インスタントコーヒーはもう飲めない、という同僚も出ています(笑)。
より豊かなコーヒータイムを楽しんでもらうために。

加藤
さて、キキマグについてもお話しを伺おうと思います。今回、ご一緒させていただく際、ORIGAMIのいくつかの商品の中から「アロママグ」を選ばれましたが、そこにはどのような理由があったのでしょうか?
加藤薫
今回のマグカップを企画する際、まず売り場から考えました。すでにCores やラッセルホブスを置いてもらっている場所、つまり百貨店の家電売り場です。そこに、ただカワイイだけ、オシャレなだけなマグカップが置かれても違和感が生まれますよね。やはりコーヒーをより美味しく楽しむためのマグでなければいけません。
ORIGAMIのアロママグは、口に近づけたときに香りをダイレクト感じます。鼻がマグの縁の内側に入るからなんでしょうね。香りを楽しむというコンセプトはとてもいいと思ったんです。
ところで、アロママグは現在の形になるまでに何種類ぐらい開発されたんですか?

加藤
ワイングラスのようなマグを作ろうというのが出発点で、作ってはバリスタの方に見ていただいての繰り返しで……何種類かはわかりません。ただ、あの形が完成するまでには相当数の試行錯誤がありました。工場では作りにくいと評判です(笑)。
加藤薫
この厚みや独特の膨らみも特徴的ですよね。
加藤
本当は、もう少し厚くした方が作りやすくて製造側としては助かるんですよ。でも、口当たりを考えると今の厚みがベストでした。それにこの形にするためには、型を分ける必要があって、そのあたりも手間がかかっています。
加藤薫
通常のマグと比べると、どれぐらい違いものなのでしょうか?
加藤
この膨らみを出すために、上下二つの型を合わせているんですが、合わせた際にどうしてもバリが残るんです。そして、それを取り除くには今のところ手作業しか方法がありません。通常ならすぐに釉薬を塗る工程に移れますので、普通のマグ3個分ぐらいの労力はかかっていると思います。
加藤薫
やっぱり、それだけの手間がかかっているからこの形が生まれているんですね。
私どもとしては、香りをより楽しめるという他のマグにはない特徴はもちろんですが、工程を含めて、丁寧に作られていることも伝えていきたいと考えています。
加藤
Cores さんの伝え方は、私どもも大変勉強になります。名前や色も特徴を出されましたね。
加藤薫
ケーアイさんのアロママグは、はっきりとしたカラーリングで、すごくポップな印象を受けました。でも、そこに似せてしまうと個性が出なくなるので、あえて全く違う色合いを出してみました。国産ということも分かりやすくするために、「織部」「志野」「黄瀬戸」「瀬戸黒」といった器の伝統の色を現代的に表現したカラーにしました。
名前のキキマグは、日本酒などの「利き酒」から取りました。たくさんの人に、今まで以上にコーヒーの香りを楽しんでいただけると思います。
従来の枠にとらわれず、コーヒーに彩りを添えていく。

加藤
Cores としての今後の展開についても、ぜひお聞かせください。
加藤薫
これまで私どもの打ち出しの中心はゴールドフィルターでした。ただ、今後Coresにブランドとしての厚みを持たせるためには、やはりカテゴリーを増やしていかないといけない。キキマグは、そういった展開の第一歩なんですね。
そもそもCoresというブランド名は、ポルトガル語で「彩り」を意味します。美味しいコーヒーシーンに彩りを添える、そのために、従来の枠にとらわれず、今後はさらに様々な素材や新しい道具に挑戦していきたいと考えています。
加藤
それは売り先についても広げていくということでしょうか?
加藤薫
やはり海外への展開は重要です。まだまだ国内での認知も高いとは言えませんので、こちらもしっかりと拡販と商品開発を行いながらですが、海外も視野に入れたプロモーションを進めていきます。現在、韓国やイギリスへの輸出も行なっておりますが、他のヨーロッパ・アメリカへも進出していきたいですね。
実は、キキマグはすでに海外のお客様から高い評価をいただいているんですよ。価格の問題など考えることはたくさんありますが、需要があるという手応えはあるので、これからさらに力を入れていきます。
加藤
私どもとしても、これからキキマグが広がることを心から願っています。今、コーヒー業界は確実に拡大していますし、その中でコーヒーの楽しみを道具から支える企業として、お互い頑張っていきたいですね。
加藤薫
はい。こちらこそよろしくお願いします。


いかがだったでしょうか。
同業界の企業さまから評価されていること、そして新しい商品を一緒に手がけられることは、とても嬉しく心強いことですね。同時に、ORIGAMIも負けずに頑張らねば……と決意を新たにしました。
次回もお楽しみに!

今回の記事の中で登場したキキマグは、Cores ECサイトで購入いただけます。日本の伝統を感じさせる色合いと、最大限に引き出されたコーヒーの香りを存分にお楽しみください。
Cores ECサイト
http://www.oanda-shop.com/shopbrand/crs/

加藤信吾
Kato Shingo
ORIGAMIのブランド設計に外部パートナーとして携わるなかで、様々なバリスタと出会い、各地のスペシャルティコーヒーに感動し、気がつけば一日2杯のコーヒーが欠かせない日々を送る。
twitter:@katoshingo_
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