
コロナ禍を乗り越え新たなステージへ。抹茶ラテアート大会「Japan Matcha Latte Art Competition 2022」
抽出舎/代表取締役・茶リスタ 小山和裕
2023.01.19
「世界に刺激ある日本茶文化を」という思いのもと、日本茶の美味しさや価値、作り手のストーリーを伝えることを目的に2019年から開催されている抹茶ラテアート大会「Japan Matcha Latte Art Competition」。

2020年からは新型コロナウィルスの影響により様々な制限下での開催が余儀なくされていましたが、2022年大会(第5回大会)では史上最多となる62名が予選に参加。予選通過者8名が出場した本大会には競技者に加えて観客も会場に集い、お茶の魅力を再発見できる飲食ブースが設けられるなど、コロナ禍を乗り越え、新たな盛り上がりに向け一歩を踏み出す大会となりました。
「Japan Matcha Latte Art Competition」を主催するのは、日本茶スタンド「Satén japanease tea」の運営を行なう株式会社抽出舎。代表で“茶リスタ”の小山和裕さんに、大会に込めた思いや今後に向けた期待を伺いました。
◆小山さんの過去のインタビュー記事はこちら
https://with-barista.origami-kai.com/with_barista/saten/
◆2020年大会後のインタビュー記事はこちら
https://with-barista.origami-kai.com/with_barista/4634/

壁を乗り越えて踏み出した、新たな一歩

──2020年以降はコロナ禍による様々な規制があったと思いますが、今回はどんな大会になりましたか?
コロナ禍に入ってから2、3年が経ち、ウイルスに対する認識がどんどん変わってきたことによって、盛り上がり方が大きく変化しましたね。規制もかなり緩和されて、今回は競技者に加えて100名のお客さまを本大会に招くことができました。
また、出場者の方も全国各地から参加してくださり、「Japan Matcha Latte Art Competition」が全国規模で認知されていることを実感できた大会にもなりました。
──認知度の向上により、今後もさらに大会の価値が高まっていきそうですね。
大会の知名度もそうですが、抹茶ラテアートというシーンが広がっていることが嬉しいですね。
ちなみに、出場者から「自分がラテアートを始めるきっかけになった憧れのバリスタと戦えて光栄だった」といった声をもらうこともあります。「Japan Matcha Latte Art Competition」には、これまでに権威ある大会での受賞経験を持つ方も参加してくれているんです。メジャーなラテアート大会にはもう出場していないようなレジェンドたちが参加する流れが、この大会で少しずつ生まれてきています。「まさか同じ舞台で戦えるとは思っていなかった」と、出場者たちに喜んでもらえています。


学生向けの大会も開催。幅広い年代に抹茶ラテアートが広がるように
──今回の大会に先駆けて、7月には学生大会も開催されましたね。
赤堀製菓専門学校の協力のもと、初めて学生向けの大会を行いました。学生大会の優勝者がシードで本大会に出場できるというかたちで、「Japan Matcha Latte Art Competition」ともリンクさせています。
学生さんたちのモチベーションや刺激につながるということで、学校側からも高い評価をいただきました。
──こうやって、抹茶ラテアートに挑戦する参加者の年齢層も広がっていくことで、様々なアイデアが新たに生まれていきそうです。
そうですね。今後はさらに、学生大会と本大会それぞれの魅力を最大限に感じてもらえるよう、ルールを磨き上げていこうと話しているところです。今回は両大会ともにルールは共通する部分が多かったのですが、違いを出せるところは出していけたら、両大会の意味ももっと高まっていくのではと考えています。

さらに個性を楽しめる大会を目指して。いずれは世界展開も

──今後、大会をさらに盛り上げていくために必要なこととして、どんなことをイメージされていますか?
もう少し、出場者のみなさんに自由にラテアートを作ってもらえるようなレギュレーションを検討していきたいですね。たとえば現在は、抹茶のグラム数は5g、お湯の量は50ccと決まっているのですが、出場者からは「もっと量を増やせればいろいろなチャレンジができそう」という声をいただいています。
カップも、もう少し大きなものを使うことで、ラテアートで作る絵柄の選択肢が広がったり、それぞれの持ち味をアピールしてもらえるようになりそうです。今は次の大会に向けて、このあたりの決まりごとをどこまで変更すれば、競技性を損なうことなくもっと個性を楽しめる大会になるか、バランスを探っているところです。
それと、エンタメ性もさらに高めていきたいですね。本大会の審査ではお客さんからの一般投票も受け付けていたり、競技中にはリアルタイムで解説をしてもらっていたり、現時点でもいろいろ工夫しています。解説については、「意図を汲んで伝えてもらえてうれしかった」と、出場者からも好評です。コロナの規制下での大会ではライブ配信の試みもしてきて、こちらも好評でした。まだまだやれることを探っていきたいと思っています。


──今回の大会で、抹茶ラテアートのシーンの広がりや大会の新たな形などいろいろなことが見えてきたなかで、今後に向けて期待されることや挑戦してみたいことはありますか?
今はとにかく、「Japan Matcha Latte Art Competition」をいかに広げていくかということに注力しています。今年開催した学生大会ともさらに親和性を深めて、若い世代にも抹茶ラテアートのシーンを浸透させていきたいですね。そして、いずれは海外でも大会を開催できたらと考えています。今年の大会で実感できた手応えをもとに、多くの人にお茶の世界の魅力を知ってもらうきっかけを届けていけたらうれしいです。


コロナ禍を経て、新たなステージへと踏み出した「Japan Matcha Latte Art Competition」。高いレベルで繰り広げられる抹茶ラテアートでの競い合いが、お茶業界とコーヒー・バリスタ界を結びつけ、盛り上がりを見せています。
今後も、学生大会の浸透や世界大会の開催など、小山さんたちの新しい挑戦が楽しみです。
聞き手:ORIGAMI JAPAN
写真:間澤 智大
◆Japan Matcha Latte Art Competition
https://www.jmlc.jp/
◆Satén japanease tea
https://saten.jp/

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